コラム

家の履歴書

鈴木 元一朗(グランドコンパス)
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 中古住宅購入時に、平図面があってほしいものである。リフォームの際の寸法表になる、一から採寸して図面を書き起こすのは大変であり、もし図面を作成するとなるとお金も時間もかかる。

 図面が存在すれば、どんな構造なのか、目に見えない部分が見えてくる。これがないと撤去できる柱か否か、取り外せる壁なのか否かの判定ができにくいので、工事の際には慎重になるからリフォームの時間や費用を要する。建築物の強度に関わる重要なことであればなおさらである。さらには新築時の手抜き工事も見えてきたりもする、あるべきものが無かったりする。

 リフォームを経験している建物であるのなら、その工事で、どの部位を、どのように変更したのか、その際に使用した部材や部品、どの範囲を施工したのかのリフォーム(変更)図面があると良い。

 さらにあってほしいものは定期的な診断実施の記録。いつごろから不具合を生じ始めているか、どんなメンテンナンスを施したのか、それはどの部分で、どの材料で、どんなことをしたのか。劣化のスピードも計ることができる。これがあると今後のメンテナンスやリフォームの参考になる。

 人間の健康診断のように、車検記録のように、定期的な診断記録が残っていれば、受け継いだ方は安心できます。事故歴やメンテナンス履歴が残っていない中古車の取引は不安ではないですか?住まう人や所有者が次代に残す、受け渡すためにも、記録を残してほしい。優良な中古住宅の取引がなされるには必須です。

 診断の方法は目視が基本。屋根や小屋裏、外壁、床下、室内は特に水回りの給水、排水、等になります。アメリカではホームインスペクションと呼ばれ取り引きの際にはすでに常識の様です。目視では不可能な検査を必要とするなら高所使用カメラや床下点検装置、配管内視鏡、サーモグラフィックカメラなどを活用して行う方法もある。

 しかし一方で、点検商法といった悪徳商法があるので気をつけたい。点検といって訪問し、その点検作業の結果を虚偽による報告をしたり、必要以上に不安を煽って商品の購入をさせたりする。床下が湿気ていますので薬剤を散布した方が良いとか、換気扇を取り付けた方が良いとか、白アリが見つかりましたなど嘘の報告をして高額な工事の契約を迫るなど。

 防止の意味でも、信頼のおける会社に定期的に診断をしてもらうのが良いでしょう。

 日本に優良な中古住宅が流通する上でも、優良な住宅を住み継いでいくうえでも、定期診断が習慣化するような時代を望む。